その三十四 「海味」

 青山「海味」の初代は大滝氏と言い、その後の二代目の長野充靖氏が親方として一つの時代を築いた。その長野充靖氏が2015年に急逝し、後を継いだのが中村龍次郎氏である。中村龍次郎氏は金沢「葵寿し」(閉店)で修業を始め、銀座「萩わら」などを経て2014年に「海味」に入店した。長野充靖氏の亡き後の「海味」を三代目として支えた。その中村龍次郎氏も2019年11月に外苑前に「鮨 龍次郎」として独立。現在は京都リッツカールトンの「水暉」にいた平公一氏(「海味」での修業歴はない。)が四代目の親方として青山「海味」を継承している。

 「海味」長野充靖氏の弟子としては福岡「鮨さかい」の堺大悟氏、「東麻布天本」の天本正通氏、鹿児島「名山きみや」の木宮一樹氏、長野県茅野市近くの「中野屋」の中山洋介氏がいる。

 天本正通氏の父は福岡中州の屋台「紀文」の店主で、その父の紹介で福岡の春吉にある「鮨割烹高玉(こうぎょく)」で修業を始める。3年間の修業の後に赤坂の「とゝや魚新(ととやうおしん)」に移る。当時「高玉」時代の兄弟子だった福岡「鮨さかい」の堺大悟氏が「海味」で修業しており、その堺大悟氏の誘いで「海味」に弟子入りした。その後、二番手としてつけ場に立ち、独立を目指して滋賀の「しのはら」や京都「祇園さゝ木」で日本料理を学び、満を持して2016年に「東麻布天本」を開業した。

 木宮一樹氏は宮崎「一心鮨光洋」の木宮一高氏の三男であり、「海味」での修業後に「一心鮨光洋」に戻るが、その後、兄で次男の木宮一成氏とともに鹿児島「名山きみや」として独立した。ちなみに木宮一成氏は「一心鮨光洋」の総料理長をつとめ、主に料理を担当している。長男の木宮一洋氏は宮崎「一心鮨光洋」で修業した後にシンガポールでの海外経験を経て、福岡「鮨料理一高(いちたか)」を2019年8月にオープン。四男の木宮一光氏はソムリエ・サービス担当として宮崎「一心鮨光洋」を継いだ。なお「一心鮨光洋」の鮨職人は空久保晴義氏と上村亮介氏が担当している。

 ちなみに福岡の和食「一本木石橋」の石橋康孝氏も「海味」の出身である。

 

 

(追記)2020年11月3日

 2020年2月に神楽坂にオープンした「波濤」は和食の「石かわ」グループの店。その「石かわ」で10年あまり修業し、「東麻布天本」で1年間修業した熊切大地氏が「波濤」のカウンターに立つ。

 

(追記)2021年9月5日

 2021年9月5日、東京駅前の日本橋3丁目に青山「海味」の支店、「八重洲 鮨 海味」がオープン。

 

 

f:id:karasumiblog:20210913185100j:plain





 



 

  • 参考書籍

 

dancyu」2006年1月号 プレジデント社

「鮨」食べログBOOKS 2018年 セブン&アイ出版

「東京カレンダー」2017年1月号 東京カレンダー株式会社